追記/らんちうの語り(たま版)

きゃあ。五月五日は子供の日柳原陽一郎さんがライブをやるとな。
そーいえば十八年前のその日は「さよなら人類/らんちう」シングル発売日でしたか。
シングルバージョンの「さよなら人類」はちょいと音が多すぎて苦手ですが、「らんちう」はさんだる収録よりシングルのほうがなじみがある。……というのはわたくしの「たま」ファーストインプレッションCDが、クラウンの「たまセレクション」だったからだろうと思います。やっぱりね、収録曲12曲でたまのベストを作るなんざあ少なすぎる話ですが、あれ収録の曲は否応なしに名曲ばかりというしかない……。
シングルバージョンのらんちうは、「らんらんらぁらぁららららら……」の童謡のような情景に、やなさんの嘯くシノワズリな幻燈がまさに川流れするみたいにゆらめいていて、そこを「どぶんと川へ、ごきげんようーッ!」と崩落させる言葉に知久さんの「ひゅう〜っ!」と石川さんの「アアアアア!」という絶叫、そしてアコーディオンが太鼓がギターがベースがぐわわーっ!と覆いかぶさってくるところが本当に好き。
同じ川面の裏表、金魚の浮かぶ桃色幻燈の夕空から、心さびしくななめけんすいをする子供がいる元の土手の世界へ一気に落下するシノワズリ。カタストロフィでエクスタシィで、チープで緻密で美しい、絵画のような素晴らしいミックスです。とまあここまでくだくだしく述べてもその良さ*1はなんとも名状しがたいものがあります。要するに好きなんです。
ああでも、語りでいえば「それを捌いちまったァトメさんの、頭におおきなこぶが出たぁーーー!」(さんだる)もやっぱり好きだけどね!どっちも好きだな結局! 基本的に七五調なのが、「らんちう」の語りの、ドサ芝居的な心地良さといかがわしさのキモなんでしょうかね。シノワズリーかジャポニスムか、はたまたローカルか*2の世界が即興で決まるのがまたすごいやね。
「別冊イカ天」版の「ああ、哀しいらんちうの物語でございまぁす」もいいし。イカ天初登場時の「それがらんちうとなる運命であったのであるぅ」もいいね。あれらは語る柳原さんの風体や流し目も含め、バンドの醸し出す雰囲気が妖しい紙芝居みたいでこころにぐいぐいと食い込んでくるのです。やあ、あざやか、あざやか。
(どんどこみいちゃんはあちゃんな日記になっていますね。多分いきなり更新止まるねこりゃ)

*1:というより、私がどれだけその部分を好きなのか

*2:「あの炭鉱の奥深く、眠れる人々を弔うためにな!!」@夕張